就職活動のビジネス化

インターネットの普及以前は、大学の就職課に張り出された求人票を見たり、自宅に送られる企業求人パンフレットなどを見て企業に電話、郵便などでコンタクトを取り、会社訪問、入社試験を行うのが普通だった。インターネットが普及した2000年頃から、大手企業を中心にリクルートが運営するリクナビに代表される就職ポータルサイトに会員登録し、それらのサイトを経由して企業に受験の意志を表明(エントリーと呼ばれる)したり、会社説明会や入社試験の予約を行うのが一般的になった。現在では、就職サイトにしか求人情報を出さないという大手企業も多く、就職サイトに登録することは、就職活動をする事務系を志望する学生の常識となっている。

就職協定の廃止により激化した競争を勝ち抜くため、面接の受け方やエントリーシートの書き方、自分の長所、適性、キャリアプランを自ら検討する「自己分析」などを解説した「就職マニュアル本」が数多く出版され、大型書店では就職本コーナーを作るほどの人気になっている。近年では、就職支援を掲げる就活系団体なる組織が多数編成されており、大学3年生や大学2年生までも対象としたセミナーなどで、早期の就職活動開始を促すような活動も見受けられる。

公共職業安定所
公共職業安定所は、日本において国民に安定した雇用機会を確保することを目的として、厚生労働省設置法第23条に基づき国が設置する行政機関である。愛称は「ハローワーク」で、約4,000点の応募の中から決定され、1990年度より愛称の使用が開始された。

求職者には就職についての相談・指導、適性や希望にあった職場への職業紹介、雇用保険の受給手続きを、雇用主には雇用保険、雇用に関する国の助成金補助金の申請窓口業務や、求人の受理などのサービスを提供する。公共職業安定所は、取締、規制は業務としていない。

職業安定法により、民間・国を問わず、求職者から手数料・紹介料を徴収することは禁じられている。なお、民間有料職業紹介事業者は、求人者から受付手数料と紹介料を徴収し、これを主な収入源としている。

従来は、「職安」あるいは「安定所」という略称が広く使われていたが、1990年からは、一般公募で選定された「ハローワーク」という呼称が主に用いられるようになっている。正式名「○○公共職業安定所」は、対外的には「ハローワーク○○」と表記されている。

お船員に関しては、船員職業安定法に基づき、地方運輸局公共職業安定所と同様の業務を行うことになっている。

▼事業主(求人者・使用者)向けサービス
人材の紹介(求人申込み、応募者紹介)
雇用保険の適用(雇用保険被保険者資格の取得・喪失手続き)
助成金・給付金の支給
雇用調整を行わざるを得ない事業主向け助成金
人を雇用する事業主向け助成金
起業や新分野への事業展開を希望する事業主向け助成金
能力開発を行う事業主向け助成金
その他の助成金
雇用管理サービス(募集・採用・配置などに関する相談・援助、高齢者や障害者の雇用管理の援助)
その他のサービス(労働市場、労働条件などの情報提供等)

▼業務
ハローワークの開庁時間は、原則8時30分から17時15分まで、土曜、日曜、祝日、年末年始は業務を行っていないが、原則として人口20万人以上の都市に立地するハローワークは平日8時30分から19時まで、土曜日は10時から17時まで業務を行っている。ただし、平日17時15分以降の時間帯や土曜日は職業紹介事務のみの取り扱いであり、雇用保険事務の取り扱いは行っていないので注意を要する。

職業紹介・相談業務については、求職者の住所を管轄するハローワークでなくとも利用する事が可能である(雇用保険の認定手続きにおけるハローワークを通じた求職活動実績にもカウントされる)。ただし、雇用保険業務、求人申込み、職業訓練の斡旋、各種助成金については、求職者の住所(居住地)・事業所の所在地を管轄するハローワークで申請する必要がある。なお、人事権が独立している現場(大企業の工場や支社など)の場合、求人の受理は適用事業所所在地でなく、現場管轄でも可能な場合がある。

年度末に契約が終了する期間社員が多いため、4月は最も混む。月曜日が特に激しい。

▼職業紹介の許認可
ハローワークは、民営職業紹介事業所及び労働者派遣事業の許可又は認可及び管理・監督を行う官庁でもあったが、2008年現在は各都道府県労働局に専門部門を配置し、その都道府県内の事業所等に関する事業について一括して取り扱うこととなっている。

求人サービス
求人番号
ハローワークの扱う求人は、正社員求人、パート求人、臨時雇用求人まで全ての雇用形態を網羅している。全ての求人に番号を下記のように設けている。

求人番号(ハローワークインターネットサービスでは「整理番号」と記載)
○○○○○−●●●●●●●●
最初の『○』の5桁が求人を受理した安定所の通し番号であり、『−』以降の『●』の番号が求人個別識別番号である。『●』の番号の最後の下二桁は、1桁目が西暦の下一桁、2桁目が「1」であり、2010年の場合は『01』である。この求人番号により、大体の就業場所を推測できる。ただし例外として、その事業所の規模や本社所在地の事情で、東北地方の安定所で受理した求人内容が、中部地方での勤務を指定する場合もある。

あるいは、東京に本店のある大企業が、その企業の大量の全国の求人を、東京の本店所在地の所轄安定所、品川に一括提出する事もある。