求人倍率を調べた

求人倍率とは、経済指標のひとつ。求職者1人あたり何件の求人があるかを示すもので、たとえば求人倍率が 1.0 より高いということは、仕事を探している人の数よりも求人のほうが多いということである。一般に求人倍率が高い社会は、企業がより多くの労働者を求めており、つまりそれだけ経済に活気があると考えられる。

▼新規求人倍率
新規求人倍率とは、公共職業安定所で扱った新規求人数を新規求職者数注2で割ったもの。

新規求人数
当該月に新たに受け付けた求人数の合計
新規求職者数
当該月に新たに受け付けた求職者数の合計

▼有効求人倍率
有効求人倍率とは、公共職業安定所で扱った月間有効求人数を月間有効求職者数で割ったもの。景気動向を見るために作成される景気動向指数の一致系列に採用されている。

月間有効求人数
先月から繰り越した求人数に、当月新たに発生した求人数を合計したもの
月間有効求職者数
先月から繰り越した求職者数に、当月新たに発生した求職者数を合計したもの

▼新規求人倍率と有効求人倍率の関係
新聞報道や経済分析等で労働環境を見る場合には、有効求人倍率が広く使われている。ただし、日本の労働制度は、労働者の地位と権利を擁護するために解雇にきびしい制約が課されている事から、企業は将来の増産等の見通しがないと求人を出さない。このため、新規求人の動向は企業の足元の景気感を示しており、労働情勢をみるには、その経済指標としての特性を考慮しつつ、新規求人倍率も併せてみる必要がある。

▼地域による求人倍率の違い
各地域ごとに産業構造、人口等の違いがあるため、地域によって求人倍率には差がある。一般的に都市部では高く、地方では低い傾向がある。

▼中学、高校卒業生の求人倍率
公共職業安定所及び学校で取り扱った求職、求人情報を利用して作成する。

▼大学卒業生の求人倍率
リクルートワークス研究所が調査、推計した求人総数と民間企業就職希望者数で求める。詳細は報告書の推計方法を参照されたい。

求人倍率の推移
全国計の新規求人倍率及び有効求人倍率の推移は以下のとおり。なお、上述したとおり新卒は含まれていない。

▼就職活動
就職活動とは、職業に就くための活動の総称。略して、就活とも呼ばれる。通常、学生・失業者など職に就いていないか、フリーターなど非正規雇用の者が、企業や官公庁などに正規雇用されるための活動を指す。転職のためや、自営業を始めるための活動は含めないことが多い。

中卒者を送り出す側の事情として、特に1970年頃までの地方では、生計が苦しく高等学校などに進学させる余裕がない世帯が多かったので、子供が都会の企業に就職することで経済的にも確実に自立することを期待して、都市部の企業に積極的に就職させようとする考えがあった。こうした状況の下、中学校も企業の求人を生徒に斡旋して集団就職させていた。1953年には、借り切った列車に中学校を卒業して企業に就職する少年少女たちを乗せ、都会に向けて走る「集団就職列車」が青森県で初めて走った。就職列車は1974年まで東北地方を中心に走り続け、高度成長期の春を象徴する風物詩となった。

高校生は、現在も大学生と並び新規就業者の主力を占める。就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の新卒求人については、職業安定法に基づき、すべて公共職業安定所を通して学校に掲示することが義務付けられている。したがって、実際の応募については学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。また、就職試験を受けるためには学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。かつては後述する「一人一社制」が鉄則だったため、選考結果が出るまでは他の企業を受けられなかった。

▼フリーターの就職活動
さらに、「3年以上は同じ職場を経験しないと、必要な能力は一通り育たない」、「倒産や廃業がない限り、一生同じ会社で過ごすべき」という旧式の概念を持つ者もおり、アルバイトしか経験していないケースでは、マイナス評価に成っても好意的に見られないケースが後を絶たない。そのため、多くの企業における「実務経験者のみ」や「リストラ解雇者のみ」という過剰な求人対象の限定は、しかるべき企業で長期就業経験が積めなかった求職者たちにとっては超えることのできない絶壁であり、経験を積むことさえ許されないという現状がフリーター増加の背景に根付いている。

また、フリーターを単純な労働力としてしか見なしていない雇用者もあり、フリーターはすぐ辞めるからという理由で就労教育がなおざりであるケースも散見される。このような職場環境ではフリーター自身にも何ら技能が身に付かない状態に陥る。さらにフリーターの多くがやむを得ずフリーターになっていることもあり、仕事に現金収入以外の価値を見出せなくなる失速現象を起こしていると思われる節もある。これはパートタイマーなどの臨時雇用者にもたびたび見られる現象だが、雇用者と労働者の間に溝が出来た結果、労働意欲や責任感を削がれた労働者が量産されている構図も見受けられる。