求人を知る

求人は、労働力となる者を収集するために行う告知、及び雇用契約の誘引行為のことである。対義語は「求職」。以下では特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。求人における年齢制限については、2007年10月1日付施行の改正雇用対策法によって、基本的に禁止となった。ただし、実態として企業は募集時は年齢制限を設けていなくても、書類選考や面接といった採用の段階で実質的に年齢制限をかける事例が多く見受けられ、法改正後もこうした年齢制限が残る可能性が指摘されている。

▼求人手段
伝統的求人手段
新聞やポスターといったメディアとなる媒体を用いた告知が主であるが、労働力となる者が輩出される学校)や、労働力となることを望む者が集う公共職業安定所などへの募集の要項の掲示を直接行うこともある。

また、大規模な求人イベントとして就職説明会などの機会も利用される。就職フェア、転職フェアも広く行われている。

求人情報誌
1980年ごろから登場した求人情報誌は、紙媒体の代表的な存在であり、リクルートの「ビーイング」「とらばーゆ」、学生援護会の「デューダ」「サリダ」などが発行されているが、近年では次項のインターネットに押され売れ行きが減ってしまい、求人専門のフリーペーパー(アイデムリクルート学生援護会を全国各地の主要鉄道駅や書店等に無料配布で展開している事例もある。

インターネットを媒体とした求人
新卒募集を除く求人では、2000年頃までは、主に前述の情報誌や新聞などの紙媒体やハローワークを利用して求人活動を行うことが多かったが、2000年以降、ADSLFTTHなどいわゆるブロードバンドインターネット接続の普及によって、インターネットの常時接続が一般化すると、自社や求人・求職専門ウェブサイトを使った求人が増えてきた。

情報誌のフリーペーパー化が加速する中、インターネット上の求人活動は増加の一途をたどっている。元々求人などの情報誌を発行していたリクルート社の「リクナビ」をはじめ、ハローワークに登録された求人情報を検索できる「ハローワークインターネットサービス」などのインターネット求人情報サービスが2000年頃から開始しているが、登録を受け付けた求人情報に加え、各社の自社サイトに掲載された求人情報をロボットでかき集める検索エンジン型無料求人サイトも既に登場している。ITMG社の「Coojin求人情報検索」(求人情報平均130万件)やDIP社の「ジョブエンジン」(求人情報平均3万件)、「キャンディデイト社(旧民間職安)」が運営する特化型求人求職データベース(求人情報平均100万件)などが大量の求人データベースを保有する。現在の日本最大級の求人サイトは、求人情報サイトの情報も同時に掲載されている「Coojin求人情報検索」(求人情報平均130万件)である。検索エンジン型求人サイトは、ロボットが各社の自社サイトに掲載した求人情報を自動収集し、解析したデータを求人情報として提供しているため、従来の求人ポータルと比較すると圧倒的に情報量が多いことが特徴である。

また、インターネット求人ならではの存在として、求人情報掲示板がある。 誰でも無料で求人情報を掲示できる。近年、増加を続けるブログ同様にスキンを適用し、 投稿内容を自由にデザインできる。

ヘッドハンティング
特定分野の高度な技術や、社業全般のマネジメント、法律、財務、M&A関連などに詳しい特殊な能力を有する労働者が必要な場合、前述のような一般的な求人募集のほか、職業紹介会社やスカウト、ヘッドハンターへ依頼する場合がある。

求人情報誌
求人情報誌は、企業などの各種求人情報を業種や職種、勤務地などのカテゴリーに分け掲載している情報誌ある。求人誌とも呼ばれる。求人情報誌は、多くは地域別に発行されている。また、有料のもの、無料のものがある。個々の雇用形態の求人のみ掲載している求人誌もある。インターネット普及以前は、新卒者向けの各種就職ガイドが発行されていたが、現在ではほとんどなくなっている。配布ルートはスーパーやコンビニなどの店頭など、販売はキヨスク(鉄道駅売店)、コンビニエンスストア、書店、大学生協などで100〜200円前後。発行サイクルはアルバイト誌が週2〜3回、正社員誌が週1(週刊)〜月1回。

▼仕事探しの変化
求人情報誌が登場するまでの正社員やアルバイトなどの仕事探しは、

公共職業安定所で調べる
新聞本紙の求人情報を見る。
新聞に挟まれる折込広告で職探し
店頭でアルバイトなどの求人募集ポスターを見て応募
知り合いや親族の伝
という求職スタイルがあったが、雑誌形式を取ることで広告掲載料金のほかに売上収入が獲得できる、新聞を読まない層にも求人情報を行き渡らせることができる、求人専門の広告代理店が設立されるなど、「求人広告」というマーケットを確立した意味合いは大きい。

以前は有料が原則だったが、現在では無料の配布形式をとる雑誌が増えてきている。無料の求人誌は静岡県が発祥と言われる。静岡県ではアルバイトタイムスが1970年代にはすでに無料求人誌を発行している。これが1990年代に全国に広まっている。

現在は、個人消費の低迷やインターネットの普及による雑誌の買い控えで、有料求人誌が求職者に情報が行き渡らなくなってきている、インターネットでの求人情報の無料提供の発達などによって無料で求人情報が手に入るなどにより有料求人誌は減少し、無料求人誌が増えている。

▼風俗求人誌の問題
当然のことながら、風俗店も、店員や風俗嬢などの募集を行うのに当たって、風俗店専用の求人誌に掲載することがある。ただ、これら風俗求人誌は、タウン情報誌を装う形で街頭に設置されるケースが多く、道徳的にも、街の美観上も問題となる。このため、各都道府県の迷惑防止条例で、規制もしくは禁止されているケースが多い。2008年9月1日には、大阪市内のコンビニ前などの陳列棚に、無料の風俗求人誌を並べていた大阪市内の広告会社が、大阪府迷惑防止条例違反容疑で、国内では初めて書類送検されている。